住宅価格の変動について

原油価格の高騰やそれに伴う製造や輸送コストの上昇に伴い、2021年からガソリンや食料品などを中心に値上げが行われましたが、2022年に入ってからはウクライナ危機や円安も重なり、それらにとどまらずあらゆる商品にて値上げが行われた、または今後行うことが次々に発表されている状況です。
住宅業界においても例外ではなく「ウッドショック」と呼ばれる木材価格の急激な上昇やそれに伴う住宅資材の上昇もあり、住宅価格上昇に待ったなしの判断が迫られています。

住宅資材価格上昇の背景

①製品の供給不足

世界各地で新型コロナウイルスがまん延し、各地の生産拠点がロックダウンなどで操業停止や生産遅延に追い込まれ、製品の供給が追い付か無くなってしまったのが現状です。
住宅資材に限らず、需要に対して供給が不足すれば、市場原理として、価格は必然に上がります。
この対策として、生産拠点の分散や移転を行っていますが、当面はロックダウンや制限があるたびに、ある程度の生産遅延は避けられないと考えられます。

②物流コストの増加

新柄コロナウイルスまん延が始まってからの世界全体で起こった経済停滞で輸送が減少、コンテナ生産も縮小されました。その後の需要が回復傾向にありましたが、他国に先駆けて需要が回復した中国にコンテナが集中しました。一方で経済回復が遅れたヨーロッパでは空のコンテナが滞留するといた現象が起こり、世界的なコンテナ不足と輸送遅延が発生し、物流コストが増加しました。

③燃料費の高騰

新型コロナワクチンの接種が進んだことにより経済活動が再開して、原油需要が高まっています。
米国ならびに中国、インドをはじめとする途上国での石油需要 の増大、OPEC余剰生産能力に代表される供給能力の制約、石油先物市場への大量の資金流 入などの複合要因によるものとされています。
これらの複合的な要因で、コロナ以後、あらゆる業種で製造コスト・輸送コストが高騰してしまいました。
とはいえ、長くデフレが続く日本では各メーカーとも値上げせずにしのいできましたが、今の状況になっては、それも限界で、やむを得ず値上げに踏み切ったのが実情です。

直近で値上がりした主な資材

①木材

構造材・造作材は約2年前と比べて約20%上がっています。
2021年春のウッドショックにより高騰した木材価格は、その後も高止まりしています。

②鉄筋、板金類

鉄筋、板金類も約2年前と比べて約20%上がっています。
こちらも新型コロナウイルスまん延からいち早く回復した成長国・中国に原料である鉄鉱石が集中しているのが原因と考えられます。
鉄筋、板金類は、基礎工事に欠かせない鉄筋、金属サイディングやガルバリウム鋼板などの外壁材・屋根材、雨どいや破風などの板金巻きなど様々なところで使われています。
しかし、瓦屋根の住宅なら住宅1棟の建築費用のうち鉄筋、板金類が占めるのは1%程度となっており、大きな影響にはなっていないと考えられます。

③基礎工事

基礎工事費は、すでに取り上げた鉄筋を除いても約10%値段が上がっています。
コンクリートの原料であるセメントや骨材の値上がりに加えて、物流コストアップが影響しています。
住宅1棟の建築費用のうち基礎工事費(鉄筋別)は6~7%程度を占めており、こちらの影響はやや大きくなっています。

④サッシ

サッシは約2年前と比べて約10%値上がりしています。
住宅1棟の建築費用のうちサッシの費用は5%程度なので、こちらも影響は大きいと考えられます。防火地域・準防火地域になるとさらに影響は大きくなります。

今後、値上を予定している主な資材

①住宅設備

住宅設備は約2年前と比べて約3%値上がり予定です。
キッチン、ユニットバス、トイレなどの住宅設備はこだわるお客様も多いことが影響しています。
住宅1棟の建築費用のうち住宅設備費用は約10%を占めるので、影響はそれなりにあります。

②建材

建材は約2年前と比べて約10%値上がり予定です。
建材にはプラスターボード、仕上げの板材、防水シート、合板など現代の住宅建築に欠かせないものが多く含まれます。住宅1棟の建築費用のうち住宅設備費用は約8%を占め、これが値上がりするのは木材価格高騰に次ぐ負担になりそうです。

③木製建具・造作家具

木製建具・造作家具は約2年前と比べて約10%値上がり予定です。
合板の値上がりによるものです。あまり採用しない住宅会社もありますが、その場合は建材を使っているので、建材の値上がりの影響を受けます。

④電設資材(電気工事)

電設資材も約2年前と比べて約10%値上がり予定です。
電設資材とは電線などの電気まわりの資材になります。住宅1棟の建築費用のうち電設資材の費用は約5%を占めると言われているので、全体への影響は小さくありません。

⑤断熱材

断熱材も約2年前と比べて約10%値上がり予定です。
住宅1棟の建築費用のうち断熱材の費用は約4%を占めるので全体への影響はそれなりにあります。

⑥瓦屋根

瓦屋根は約2年前と比べて約10%値上がり予定です。住宅1棟の建築費用のうち断熱材の費用は約3%です。
なお、瓦屋根は2022年1月にガイドライン工法が改定されています。ガイドライン工法は国土交通省が標準設計・施工の方法として示しているもので、今回の改定で瓦1枚1枚をねじ等で緊結することが義務付けられました。

⑦内装壁仕上げ材(クロス)

クロスなどの内装壁仕上げ材は約2年前と比べて約20%値上がり予定です。
左官(塗り壁)は今のところ値上がり予定はありません。

今後の対策と見通し

この値上がりに対してお客様側にできることは、ほとんどありません。
単純に支払う金額を抑えるなら、面積を小さくする、住宅設備のグレードを落とすといった方法があります。
これは建てる家の仕様を変更する方法なので、広さや住宅設備にこだわりがある人には取り入れにくい方法かもしれません。とはいえ、住宅にかけられるお金には限界がありますから、もともとローンを限界まで予定している場合などはこうせざるを得ないことも考えられます。

今後の見通しとしては、住宅の建築費用は上がることはあっても下がることはないといえます。
最初にコロナ禍の影響として説明した通り、あらゆる資材・製品の原料や物流コストは世界情勢の中で決まっています。

家を建てるタイミングに正解はありません。
が、住宅建築費用は上がっているという前提のもとに「いつ建てるか」を考えましょう。

ページトップへ戻る